「いくら掃除してもチョウバエが発生してしまう」「毎年暖かい時期になるとチョウバエが発生して困ってしまう」という方は、日々の清掃方法や退治の仕方に問題があるかもしれません。
チョウバエは、暖かい環境だと冬でも生息し年中活動します。退治方法や予防対策を間違えると繁殖が長く続いてしまい、ハエ症という病気になる可能性もあります。
チョウバエの駆除には、チョウバエが発生する原因と、発生原因に合った退治方法や予防対策が必要です。チョウバエに悩まされないために役立つ情報をご紹介します。
チョウバエの生態
チョウバエは、卵、幼虫、蛹までの間は汚水や汚泥が溜まっているジメジメとした場所で成長します。成虫になると羽が生えますが飛ぶ力が弱いため、卵から蛹の間に育っていた水回りの近くに生息することがほとんどです。成虫になると昼間はあまり活動せず壁などに張り付いていて、暗くなると活発に動き始めます。
日本に生息するチョウバエは、およそ70種類が報告されています。その中で、家や飲食店などで繁殖する種類は「オオチョウバエ」と「ホシチョウバエ」の2種類です。
オオチョウバエの特徴
オオチョウバエの成虫は、体長が3~5mm程度で灰黒色です。成熟すると体長が10mmになることもあります。体や羽全体に毛を帯びていて、羽の端に8つの白斑があるのが特徴です。分布地は全国ですが、北海道での発生は比較的に少ないです。
ホシチョウバエの特徴
ホシチョウバエの成虫は、体長が1.3~2mm程度で灰色です。羽には5~6個の黒斑があります。分布地は全国に生息します。
チョウバエが発生する原因
チョウバエが発生する原因は不衛生な環境です。チョウバエの成虫や幼虫は、有機物を多く含んだ汚泥や排水口のぬめりなどを餌にします。そのため、生ごみ、石鹸のカス、人の垢などを残したままにすると、チョウバエは餌場として卵を産み繁殖します。
チョウバエは排水管の中でも繁殖します。繁殖したチョウバエの幼虫は、下水の悪臭やガスを遮断するための排水トラップを通過して排水口に現れます。チョウバエの発生源が分からないときは、排水管の中が原因である可能性が大きくあります。
チョウバエが寄ってくる場所
家の中でチョウバエが集まりやすい場所は、トイレ、風呂場、洗面所、キッチンです。それぞれの場所で、チョウバエが発生しやすいポイントをまとめました。
トイレでチェックするポイント
トイレにチョウバエが繁殖したときは、まずトイレタンクの中をチェックしましょう。また、トイレからの匂いがあると、窓の外から寄ってくる可能性があります。
風呂場でチェックするポイント
風呂場は、石鹸カスや垢が溜まりやすい排水口や排水管の中が発生しやすい場所です。次に疑わしいポイントは、浴槽の下です。浴室と浴槽が一体化している場合は問題ないのですが、分かれている場合は浴槽の下に汚水が溜まっている可能性があります。
浴槽の下を見るには、エプロンと呼ばれる浴槽の側面カバーを外して確認します。浴槽の下は暗くてジメジメしているので、チョウバエが繁殖しやすい場所になっています。
洗面所でチェックするポイント
洗面所で疑わしいポイントは、「オーバーフロー」と呼ばれる洗面台から水があふれないようにするための穴です。
洗面所に洗濯機を置いていたら、洗濯機を設置するための防水パンの排水口に注意しなければなりません。防水パンの排水口は、あまり掃除をしない方が多いのでチョウバエが発生する原因となりやすいポイントです。
キッチンでチェックするポイント
キッチンの排水口や排水管は、生ごみやぬめりが溜まりやすい場所なので、チョウバエが特に発生しやすい場所です。ほかにも生ごみを溜める三角コーナーは、常にきれいにしておかないとすぐにチョウバエが卵を産み付けてしまいます。
チョウバエが卵を産む数や成長期間
チョウバエは、1匹あたり200~300個の卵を2~3回に分けて産みます。卵から2~3日で幼虫となり1~2週間で蛹になります。蛹から成虫に成長するには2~3日程度です。成虫になると、1~2週間ほど活動して一生を終えます。
チョウバエはいつまでも繁殖する可能性がある
チョウバエが活動する時期は5~10月ごろになっています。特に、気温が25~30℃になると活発に活動します。チョウバエも蚊と同じように、35℃以上になると活動が鈍ります。そのため、猛暑が続く8月はいったん発生数が少なくなる傾向にあります。
しかし、単に活動が鈍くなるだけで死滅する訳ではありません。そのため、気温が落ち着く9月ごろになると、また活発に行動します。
家の中で、年中暖かい場所があるとそのまま繁殖を続ける可能性があります。オープンキッチンといったリビングと一緒にある台所や、暖かい室温を保てる洗面所などでは、人が過ごしやすいのと同じようにチョウバエも過ごしやすい温度です。場合によっては越冬する可能性もあるので注意しましょう。
チョウバエによる被害
チョウバエによる被害は、蚊やダニのように吸血をしたり感染症を及ぼしたりする害はありません。ただし、チョウバエの発生する場所が不衛生な環境なので、食品などにチョウバエが混入すると衛生的でなくなります。食卓に出される食べ物や、保存して置いたお菓子の袋などにチョウバエが侵入してしまい、知らずに食べてしまう恐れがあります。
ハエ症の症状
ハエ症とは、ハエの幼虫が人の体内に侵入し、消化器官や気道、泌尿生殖器、眼瞼に寄生してしまい、腹痛や下痢、炎症といった症状を引き起こす病気です。
チョウバエの幼虫が人の体内に入り込み被害を及ぼした症例は、数少ないのですが実際にあります。例えば、富山市に在住する69歳女性の膀胱炎患者から、泌尿生殖器系に寄生していたと思われるオオチョウバエの幼虫を尿中から発見したという報告があります。
チョウバエは、稀ですが人の口、鼻、瞼などに卵を産み付けます。チョウバエは暗い中で活発に活動するため、人が寝ているときに卵を産み付け、その卵が体内に入ってしまい成長してしまいます。
ハエ症になったときの対処法
チョウバエの幼虫が消化器や泌尿器などに寄生した場合、尿などと一緒に出てくる場合があります。尿などに幼虫が混じっていたり、原因が不明の下痢や腹痛、のどや目の痛みや炎症が現れたりしたら、医療機関で調べてもらいましょう。
チョウバエを発生させないための予防対策
チョウバエは不衛生な場所に発生しますが、発生している場所が分からずに悩まれる方が少なくありません。また、発生源が一か所とは限りません。例えば、トイレで発生したチョウバエを退治しても、次は風呂場やキッチンから発生し、被害が長く続くケースが数多くあります。チョウバエを発見したときは、疑わしい場所を一か所だけでなく全てチェックするようにしましょう。
目の届かない場所を重点的に清掃
チョウバエを発生させないためには、日々の清掃が大切です。チョウバエの発生源が分かりやすい、排水口や生ごみの清掃はもちろんですが、トイレ、風呂場、洗面所、キッチンで目の届かない場所も清掃するようにしましょう。
排水管を汚さないための工夫
排水管の中は、どうしても汚れがついてしまいます。毎日きれいに清掃できればいいのですが、排水管の清掃は手間がかかります。そこで、なるべく排水管を汚さない工夫をすると良いでしょう。
排水口に網をかぶせる
キッチンで流す細かな生ごみや風呂場、洗面台で流れてしまう髪の毛を、排水口に設置した網でキャッチしてなるべく排水管へ流さないようにしましょう。小さな作業かもしれませんが、排水管を汚さないためにはとても効果的です。
油はできるだけ拭き取る
フライパンなどの油汚れは、水や洗剤で流す前にペーパーなどでできるだけ拭き取ってから洗うようにしましょう。油は排水管の周りに付きやすくヘドロの原因となるので、なるべく流さないようにしましょう。
排水管の清掃方法
排水管の清掃は、市販のパイプクリーナーを使います。パイプクリーナーには、液状タイプ、錠剤タイプ、ジェルタイプがあるので、どのタイプが合っているか試してみるとよいでしょう。
パイプクリーナーの清掃で汚れが取れない場合は、1mほどの長いワイヤーブラシを使います。ワイヤーブラシはホームセンターなどで販売しています。
チョウバエを外から侵入させない
チョウバエは、トイレや生ごみの匂いに誘われて窓の外から侵入するケースがあります。トイレや風呂場などの水回りに近い窓は、網戸を忘れずに閉めておき虫よけ剤を散布すると良いでしょう。
チョウバエの退治方法
殺虫剤を使用する
チョウバエを退治するには、チョウバエに効果がある殺虫剤を使います。殺虫剤の種類には、成虫に効くタイプと幼虫に効くタイプの2つがあります。チョウバエを発見したら、成虫だけでなく幼虫にも効くタイプの殺虫剤を使用して、部屋の中にいる成虫や排水管の中などにいる幼虫を退治しましょう。
幼虫を熱湯で退治する
幼虫を発見したのにその場に殺虫剤がなかったときは、熱湯をかけて退治する方法もあります。風呂場の浴槽下や排水口に幼虫がいたら、熱湯をかけて流します。ただし、熱湯をかける方法は一時的な対処法なので、後でしっかり殺虫剤を使用しましょう。
まとめ
チョウバエは、排水口や生ごみだけでなく、排水管の中で繁殖してしまうと退治に手間がかかってしまいます。チョウバエの被害に遭わないためにも、定期的に排水管の清掃を行うようにしましょう。
もし、チョウバエが発生してしまったら、発生源を一か所だけに限定せずに疑わしい場所はすべてチェックすることが大切です。退治方法を間違えて、長い間チョウバエに悩まされないようにするためには、水回りの清掃を一気に行うと解決への近道になるでしょう。