不快な生ごみ。とくに気温や湿気の高い季節は、すぐに臭いにおいを発し、コバエが湧くなど嫌なことだらけ。毎日の生ごみから解放される生活があるならば、誰もが憧れますよね。そんな夢を叶えてくれるのが、生ごみを水と共に粉砕しながら下水に流す処理設備「ディスポーザー」です。中には、「もうディスポーザーなしの生活には戻れない」と感じている人もいるのだとか。この記事では、ディスポーザーを導入するメリットとデメリットについてご紹介します。
ディスポーザーとは?
ディスポーザーはキッチン排水溝の下に設置され、水道水とともに生ごみを粉砕して、排水管へと排出する生ごみ処理粉砕機のこと。野菜の皮や魚の内臓などの生ごみを素早く処理できるため、常に清潔なキッチンを保てると人気です。
ディスポーザーのシステム
ディスポーザーのシステムを簡単に説明すると、排水溝の手前にフードプロセッサーが付いているようなイメージで、水と遠心力を利用して生ごみを粉砕処理し、水と一緒に流します。家庭用ディスポーザーで、約250gの一般的な生ごみを処理するのに30秒程度かかります(機種やごみの種類により、粉砕に必要な時間に差があります)。
日本でもっとも多く採用されているディスポーザーの粉砕構造は、「ハンマーミル」と呼ばれるもの。粉砕室の底にあるプレートが回転し、プレートに付属のハンマーが投入された生ごみを細かく砕き、遠心力で壁に押し付けてすり潰されます。細かくなった生ごみは、壁の隙間から水と一緒に排出されていきます。
◇ディスポーザーの使い方
ディスポーザーは、以下のように簡単な4ステップで使えます。
STEP 1
水道水を流す(粉砕室に水を溜める)
STEP 2
水道水を流したまま、生ごみを入れて、スイッチON(粉砕)
STEP 3
粉砕室の洗浄(粉砕が終わってから10秒ほど水を流し続ける)
STEP 4
スイッチOFF
初めて使う人でも、簡単に操作できるでしょう。大事なのは水。水がないと正常に粉砕処理がされないばかりでなく、配管のつまりの原因になります。生ごみを入れる前に水を溜め、粉砕中も水は流しっぱなしで、粉砕音がしなくなってからも10秒ほど水を流し続けます。なお、上記の手順は次にご紹介するパッチフィールド式の使い方です。ディスポーザーの種類による処理方法の違いも確認しておきましょう。
パッチフィールド式(蓋式スイッチ)
排水溝の入り口についている蓋自体がスイッチになっていて、蓋を閉じるとディスポーザーが稼働します。生ごみが溜まったら処理するので、水道代や電気代が節約できます。また、蓋を閉じた状態で操作するので、小さなお子さんがいるご家庭でも安心して使用ができます。
◇連続投入方式
水を溜めてからスイッチを押すまでの手順は、パッチフィールド式と同じです。その後は、水を流しながら連続して生ごみを捨てられます。例えば、剥いているりんごの皮が次々と水に流され、粉砕されていくイメージです。ごみを捨て終わったらスイッチをOFFにします。
◇ディスポーザーのメリット
簡単に使えて便利なディスポーザー。ここではもう少し詳しく、ディスポーザーを導入した場合のメリットについてご紹介します。
・三角コーナーが不要になる
生ごみの水切りをするための三角コーナーを常時設置しておく必要がなくなるため、シンクがすっきりします。排水溝のゴミ受けのネバネバした汚れを掃除する必要もなくなり、掃除のストレスも軽減されるでしょう。
・悪臭や害虫の発生を防げる
生ごみを放っておくと、異臭や害虫が発生します。とくに高温多湿の時期には、1日でも生ごみをそのままにしておくと腐敗が進み、悪臭が漂ってコバエなどの虫発生の原因になります。毎日捨てられるといいのですが、自治体のごみ収集日までの何日かは我慢が必要です。ディスポーザーがあれば、その日の生ごみはその日のうちに処理できるので、清潔なキッチンを保つことができます。
・掃除が楽
ディスポーザーの日常のメンテナンスはとっても簡単。「ディスポーザー本体の掃除が大変そう」と思うかもしれませんが、水を流しながら使い、スイッチを切るまでに流水して粉砕室を洗浄するので、こまめな掃除は不要です。気になる人は、粉砕室に氷を入れて粉砕することで日常的なお手入れになります。
・ゴミが減る
ディスポーザーがあればゴミの量が減ります。資源ごみとの分別も楽になりそうです。
・環境にやさしい
ディスポーザーを使うと、水質汚染につながるのでは……と思う人がいるかもしれません。しかし、日本の分譲マンションなどのディスポーザーには、「排水処理システム」が備え付けてあるので心配ありません。
「ディスポーザー排水処理システム」の役割は、ディスポーザーで粉砕した生ごみを含む排水を、排水処理装置で処理してから下水道に流すこと。これによって、環境へ与える負荷の増大を防ぎます。
排水処理装置には「生物処理タイプ」と「機械処理タイプ」があります。「生物処理タイプ」の排水処理は、専用排水管で集められた処理槽で微生物の働きにより処理。一方、「機械処理タイプ」の排水処理は排水を固体と液体に分離し、液体のみを下水道に流します。固体は乾燥させ、通常ごみとして処理するのです。
◇ディスポーザーのデメリット
生ごみを消してくれるディスポーザー。いいことばかりのように感じますが、デメリットは何かあるのでしょうか?
・コストがかかる(日常生活)
ディスポーザーの使用には、電気代と水道代がかかります。1日に3回使用する計算で、1カ月の水道代は約120円程度、電気代は約5円程度かかります。排水処理槽に空気を送る装置(ブロワー)も月々400円ほどの電気代がかかるため、管理費などに上乗せがあるかもしれません。
・コストがかかる(修理・交換)
ディスポーザーに異物を入れてしまった場合などは、噛み込みの除去や配管のつまりなどの修理費用がかかります。目安ではありますが、本体を分解せずに噛み込みを除去した場合で1万1,000円ほど、分解して除去した場合には1万7,000円ほどの費用になるでしょう。また、ディスポーザーの寿命はおよそ7〜10年といわれており、交換には本体代金と交換工賃がかかります。
・作動音がする
ごみを細かく砕くために遠心力を使うので、とくに硬さがあるごみほど大きな音がします。粉砕にかかる時間はそれほど長くありませんが、夜遅くにキッチンの後片付けをするときは気を遣いそうです。
・分別が大変
ディスポーザーには流してはいけないものがあります。そのため、ディスポーザーで処理するものと、可燃ごみとして捨てるものを分けなくてはいけません。これは、機種によって粉砕できないものがあるためです。慣れるまでは、分別が面倒と感じるかもしれません。ディスポーザーで処理できない具体的な生ごみの種類は、後ほどご説明します。
・ひと手間が面倒
粉砕器を正しく稼働させるためには、グレープフルーツの皮など大きめのものは包丁で細かくカットしてから捨てる必要があります。パッチフィールド式(蓋式スイッチ)タイプの場合、粉砕室の容量に入る量ずつに分けて作動させなくてはなりません。そのため、大家族などでゴミの量が多い場合は、小分けにしないとすべての生ごみを一度に処理できないでしょう。そのひと手間が面倒で、使わなくなったという人もいるようです。
◇ディスポーザー使用時の注意点
ディスポーザーは、使用方法をきちんと守って使わないと故障の原因になります。メーカーや機種によって流していいものといけないものが異なりますが、代表的なものを以下に取り上げました。
・流してはいけないものがある
上述したように、ディスポーザーでは流していいものとそうでないものがあります。ただし、ディスポーザーも進化しており、以前は流してはいけなかったものも新しい機種では粉砕できるようになっていたりします。これからご紹介するものはあくまで一例として参考にしていただき、詳しくはご自身が使用するディスポーザーの説明書を確認しましょう。
・繊維質が強いもの
筍の皮やとうもろこしの皮など繊維質が多くて薄いものは、繊維質が残ったり配管詰まりの原因になったりする場合があります。また、鶏の皮や鮮魚の皮などはうまく粉砕できず、そのままの形で排出されることがあるので流してはいけません。
・硬いもの
マンゴーやアボカド、桃の種などの大きな種、大きな貝殻やカニの殻などの硬いものは砕くことができません。故障の原因にならないよう、除去しておきましょう。
・粒子が細かいもの
ドリップコーヒーのカスなどの粒子の細かいものは、グラインダーの間に噛んで動かなくなってしまいます。コーヒーのカスを詰まらせたことが原因で、故障・修理となるケースは少なくありません。
・堆積しやすいもの
アサリやシジミなどの貝殻や卵の殻、生米は粉砕できるものの、配管内に堆積してしまいます。これらを粉砕し続けると、配管詰まりの原因になります。生米や卵の殻などはついつい流してしまいそうですが、故障の原因になりますので避けましょう。
現状で流してはいけないものも、今後の技術進歩によって対応できるようになるかもしれません。思わぬ故障などにつながらないよう、製品の取扱説明書の指示に従ってください。
・中性洗剤以外はNG
ディスポーザー 内部には、金属やゴムパッキンなどの素材が使われています。そのため、漂白剤や塩素系洗剤、排水クリーナーなどは使用できません。劣化や故障の原因となってしまうので注意しましょう。洗剤で洗いたいときは、中性洗剤を使用するようにしてください。
・熱湯は厳禁
ディスポーザーの有無に関わらず、熱湯をそのままシンクに流すのはNGです。熱湯を流して、シンクから「ベコッ」という大きな音がしたという経験はないでしょうか? これは、ステンレスが熱により急激に膨張し、凹んだときにたてる音です。熱湯はシンクを劣化させるだけでなく、排水管にも悪影響を与えます。排水管の素材である塩化ビニール管の耐熱温度は、およそ60〜70度。調理に使用した熱湯を流す際は、水を流しながら少しずつ流すか、冷ましてから流してください。同じように、ディスポーザーに使われる素材にも熱に弱いものがあり、変形したり、腐食したりする場合があります。
・大量の油も厳禁
普通のシンクに油をそのまま流す人はいないと思いますが、ディスポーザーがついていてもそれは同じこと。油脂は排水管の中で固まり、詰まりの原因になることがあります。もちろん、環境のためにも避けましょう。
・一度に入れるゴミの量に注意
ディスポーザーの粉砕室の大きさ・容量を超えたゴミを入れると、うまく動作しません。詰め過ぎないように注意しましょう。
◇ディスポーザーの掃除方法とにおう時の対処法
ディスポーザーに流し残りや詰まりがあると、においや汚れの原因になります。ここで、日常的に簡単にできる掃除方法をご紹介しましょう。
・溜めた水を流す
ディスポーザーの使い方として、粉砕したゴミが流れてから10秒ほど水を流し続けるとお伝えしました。しかし、それでも流しきれない場合は、バケツなどに溜めた大量の水で洗い流しましょう。
・氷を入れて回す
氷を入れてディスポーザーのスイッチをONすると、砕かれた氷が内部の汚れをキレイにしてくれます。凍らせるときの水に酢を加えておくと、油汚れの除去効果も期待できるでしょう。また、氷と一緒に中性洗剤やクエン酸を入れるのも効果的です。
・においが気になる場合はレモンの皮が有効
ディスポーザーからふと、においが漂ってくることがあります。においが気になる場合は、レモンなどの柑橘系の皮を投入して運転するといいでしょう。柑橘系の爽やかな香りでスッキリとします。
・重曹は使ってもいい?
エコな掃除グッズの代表といえば重曹です。ただし、アルミや銅などの金属は重曹のアルカリ性で腐食することがあります。取扱説明書を読んで、重曹を使用していいか確認してから使用するようにしましょう。
◇まとめ
新築マンションなどの人気設備であるディスポーザー。本記事では、そのメリットやデメリット、使い方の注意点などをご紹介しました。便利な設備のため、ディスポーザー付きの物件に住みたいと考える方は多いかもしれません。ここでご紹介した内容を参考にして、住まい選びに役立ててくださいね。
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