不動産を売却する際には、売却価格以外にもさまざまな費用がかかります。売却準備を進めるにあたって、どのような費用が必要になるかをあらかじめ理解しておくと、スムーズに取引が進められます。ここでは、不動産売却時に発生する主な費用を解説します。
1. 仲介手数料
不動産会社に売却を依頼した際に発生する費用で、売却が完了したときにのみ支払う成功報酬です。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で次のように定められています。
- 売却価格が200万円以下:5%
- 売却価格が200万円超~400万円以下:4% + 2万円
- 売却価格が400万円超:3% + 6万円
たとえば、売却価格が1,000万円の場合、仲介手数料は36万円(+消費税)となります。
2. 譲渡所得税および住民税
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して課される税金です。譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた額を指します。課税率は、所有期間によって異なり、5年を超えて所有した物件には「長期譲渡所得」として低い税率が適用されます。
- 長期譲渡所得(5年以上の所有):所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%
- 短期譲渡所得(5年以下の所有):所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%
3. 印紙税
売買契約書に貼付する印紙税も必要です。印紙税は、売買契約金額に応じて異なります。例えば、売買契約金額が1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超~1億円以下の場合は3万円の印紙税がかかります。この税額は法律で決められており、売買契約書に印紙を貼ることで納付します。
4. 測量費用
土地を売却する場合、敷地の境界や面積を明確にするために測量が必要になることがあります。特に、古い土地や隣地との境界が不明確な場合は測量を行うことが推奨されます。測量費用は土地の規模や状況により異なり、数十万円程度かかることもあります。
5. 抵当権抹消費用
住宅ローンなどで抵当権が設定されている場合、売却時にその抹消手続きが必要です。抵当権抹消の手続きには、司法書士に依頼するのが一般的で、費用は1~2万円程度です。また、金融機関に依頼して抹消手続きを行うこともできますが、別途費用がかかる場合があります。
6. 引渡し前の修繕費やハウスクリーニング費
物件を引き渡す前に、購入者が安心して住めるように修繕やハウスクリーニングを行う場合があります。壁紙の修繕やキッチン・バスルームの清掃など、事前に整えておくと印象が良くなり、売却価格の向上や早期売却につながることがあります。費用は数万円から十数万円程度が目安です。
7. 引越し費用
売却後、新たな住居への引越し費用も考慮に入れる必要があります。引越し費用は、移動距離や荷物の量、時期によって異なりますが、一般的に数万円から数十万円程度です。引越し業者を使う場合は、早めに見積もりを依頼して、費用を確認しておくと安心です。
まとめ
不動産の売却にはさまざまな費用がかかります。仲介手数料や印紙税、測量費用、抵当権抹消費用などが主な項目ですが、状況によっては修繕費や引越し費用も発生します。これらの費用を把握し、売却計画を進めることで、スムーズな取引が可能になります。