不動産相続で起こりやすいトラブルとその防止策

不動産相続でよくあるトラブルとその対策

不動産相続は、複数の相続人が関わる場合や、遺産の分割方法について意見が異なるときに、トラブルに発展することがあります。不動産は分割が難しい財産であるため、相続に関するトラブルが起こりやすい財産の一つです。ここでは、よくある不動産相続のトラブルとその対策について解説します。


1. 遺産分割方法を巡るトラブル

不動産は現金のように簡単に分割できないため、相続人間で分ける方法について意見が分かれることがあります。相続人の間で、不動産を売却して現金化するか、誰かが取得して他の相続人に代償金を支払うかで意見が対立し、話し合いが進まないケースも少なくありません。

対策: 生前に「遺言書」を作成し、不動産の分割方法や、取得者を明確にしておくと、遺産分割に関する争いが減ります。遺言書がない場合は、遺産分割協議で話し合い、合意に基づく分割を目指しましょう。家庭裁判所の「遺産分割調停」も利用可能です。


2. 相続人間の意見の対立

相続人同士の意見が合わず、特に兄弟間でトラブルが生じることもあります。遺産の取得に対して平等に分割したい相続人と、不動産を特定の相続人が取得したいと考える人とで意見が分かれると、話し合いが長引く傾向があります。

対策: 事前に財産分与の意向を確認し、家族で相続に関する意識を共有することが大切です。相続税や費用の負担なども事前に整理し、相続の準備を進めておくことでスムーズに協議が進むことが期待できます。


3. 共有名義に伴う問題

不動産を共有名義にして相続した場合、将来的に売却や使用方法について意見が対立し、トラブルに発展することがあります。共有名義では、共有者全員の同意がなければ処分や使用が難しくなるため、管理や維持費負担の問題も起こりやすくなります。

対策: 共有名義にする代わりに、不動産を単独名義で相続する相続人を決め、他の相続人には代償金を支払うことで公平な分割を目指しましょう。また、共有名義にする場合は、将来的な売却や使用方法に関する取り決めを事前に作成しておくと安心です。


4. 相続税や維持管理費用の負担

不動産を相続すると、相続税や固定資産税、維持管理費が発生します。相続人にとって不動産が高額な場合、相続税が多額になり、支払いが難しいと感じることがあります。さらに、空き家や賃貸物件の場合は、維持管理費用がかかり、負担が増すためトラブルに発展しがちです。

対策: 不動産の評価額や相続税額を事前に把握し、支払いのための資金準備をしておきましょう。また、資金が不足する場合には、相続した不動産を売却して現金化する方法や、納税資金を確保するために物件の活用方法を検討するのも一つの手です。


5. 相続登記をしないことによる問題

相続登記をしないままにしていると、不動産の所有者が不明確になり、相続人がさらに増えてしまうことがあります。これが長期化すると、登記が複雑化し、将来的な売却や利用が困難になる場合があります。

対策: 不動産を相続した場合には、早めに相続登記を行うことが重要です。登記をしないままにしておくと、次世代への相続時にさらにトラブルが大きくなるリスクがあるため、相続登記は早めに手続きを行いましょう。


6. 遺言書が不明確であることによるトラブル

遺言書が残されていても、内容が曖昧であったり、相続人の意向が反映されていない場合、相続人間でトラブルに発展することがあります。特に、分割方法が具体的でない場合や、特定の相続人への配慮が不十分だと、遺産分割協議が難航することがあります。

対策: 遺言書は、具体的な指示を盛り込んだ「公正証書遺言」を作成すると、トラブルを減らすことができます。また、遺言執行者を指定しておくと、遺言内容の実行がスムーズになります。


まとめ

不動産相続に伴うトラブルは、相続人間での意見の対立や、法的な手続きの不備、費用負担などが原因で起こりがちです。生前に相続の準備を整え、家族で情報を共有しておくことで、トラブルを防ぎやすくなります。相続のプロである司法書士や税理士、不動産の専門家に相談することで、円滑な相続手続きを目指しましょう。