新居が決まったら、ほっと一息つきたくなるところ。でも、ゆっくり休んでいる暇はありません。鍵を受け取ったあと、荷物搬入前にやっておくとよいことを、ここで詳しくご紹介します。スムーズに快適な暮らしをスタートさせるため、ぜひ参考にしてください。
入居前に掃除や対策をするメリット
新居が決まったら、入居前に掃除やトラブル対策をおこなっておきましょう。そうした工夫やひと手間が、住みはじめたあとの快適な新生活につながります。
住む前の部屋の状況がわかる
隅々まで新居を見ながら掃除することで、住む前に家がどのような状況かわかります。たとえば、もともと傷が付いている箇所があれば、引越し前に把握しておくことで、自分がつけた傷と区別できるでしょう。
傷や汚れがつくのを事前に防げる
生活しているなかで傷や汚れが付きそうな場所を、事前に保護するなど対策を講じておけます。いずれ退去する際、原状回復で費用がかかるのを防げるでしょう。
家具があると難しい大がかりな対策ができる
くん煙剤をたいたり、冷蔵庫の下にマットを敷いたり。こうした対策は大掛かりなため、大型家具が搬入されてしまうとおこないにくくなるものです。部屋に何もない状態だからこそ、こうした対策が施せます。
掃除が楽になり、部屋をきれいに保てる
搬入前にあらかじめ掃除や対策を済ませておくと、引越し後の掃除などの負担を減らせます。また、実際に生活する前に水回りなど汚れが付きにくいように対策しておけば、きれいな状態を保ちやすくなるでしょう。
入居前に最初にやっておきたい準備・確認
たとえハウスクリーニングが済んでいても、ほこりは溜まってしまうものです。そのため、事前に掃除しておくとよいでしょう。また、家具や家電が搬入されていない状態は、部屋の隅々まできれいに掃除できるチャンスです。
元々付いているキズや汚れを確認する
前の入居者がつけた傷や汚れは、自分がいずれ退去するとき、もともと入居前から付いていたものであることを証明できるようにしましょう。自分が付けていない傷や破損、汚れた部分は、写真を撮って残しておきます。不動産会社から契約書や鍵預かり証と一緒にチェックシートを渡されることもあり、その際はシートに記入しておきます。確認せずに住みはじめてしまうと、たとえ自分がつけていない傷などでも、原状回復の費用が請求されてしまう(敷金から引かれる)可能性があります。
家具や家電を置く前に拭き掃除をする
ハウスクリーニングされている状態で引き渡されても、多少のほこりや汚れがある可能性が考えられます。そのため、家具や家電などが搬入される前に、拭き掃除しておきましょう。壁、できれば天井、そして床をワイパーで拭いておきます。特に、冷蔵庫のような大型の家電・家具は、搬入されると下などが拭き掃除しにくくなります。
拭き掃除は「上から下」「奥から手前」が基本。ワイパーを使って部屋全体のほこりを取ったら、掃除機をかけましょう。そのあと、汚れの落ちにくい箇所を水拭きします。フローリングなどは水に弱いことがあるので、濡れたままにせず、しっかり乾いた雑巾などで拭き取ることが大切です。なお、拭き掃除を完了したら、「巾木(はばき)」にマスキングテープを貼ることでほこりが溜まりにくくなります。
家具、家電の配置を決める
入居後の生活をイメージし、家具や家電の配置を決めましょう。そうすれば、引越し当日の搬入・設置がスムーズに進められます。
大型の家電や家具用に保護マットを敷く
大型の家具や家電を置く場所には、傷を付きにくくするため保護マットを敷くのがおすすめです。搬入後だと難しいので、あらかじめ敷いておきましょう。フロアマットは、階下への騒音対策にもなります。また、なかには害虫忌避の加工がされたものもあり、活用することで害虫対策にもつながります。
ただし、フロアマットの色が床に移ったり、何かこぼした際などにカビが生えやすくなったりというデメリットもあります。床とマットとの素材の相性を考え、設置することが大切です。相性が悪いと、フロアマットが床にくっ付いてしまうかもしれません。フロアマットにはクッション材やコルク材、カーペット素材などがあります。家電・家具類の下に敷くなら、実寸の底面積よりやや大きめがよいでしょう。ハサミで簡単にカットできるものもあり、これなら自由にサイズを調整できます。
カーテンの採寸をする
カーテンは、入居した当日から必要になります。そのため、あらかじめ採寸しておき、引越し当日には用意しておきましょう。オーダーカーテンなどを考えている場合は、通常より時間がかかる可能性があるので注意してください。なお、ドレープカーテンのサイズは幅がレール幅+5%ほど、高さは床までの長さから1cm短い程度が適切です。レースカーテンは、ドレープカーテンの長さからさらに1cm短くしましょう。
入居前にやること【水回り】
お風呂や洗面所などの使う頻度が高い水回りも、生活をはじめる前に対策しておくことで日々の掃除が楽になります。以下で、具体的な対策法をご説明しましょう。
お風呂
お風呂は浴槽用のコーティング剤を使うことで、汚れや傷を付きにくくできます。また、どうしてもカビが生えやすいため、カビ発生を防ぐくん煙剤で予防するとよいでしょう。カビは一度生えると完全に取り除くことは難しいため、お風呂を使う前から対策をおこなうことが大切です。なお、くん煙タイプだけでなく、天井や壁に貼り付けるタイプもあります。
お風呂のドアパッキンには、カビ防止のマスキングテープを貼るのがおすすめ。さらに、ほこりがたまるのを防ぐ効果も期待できます。ただし、こまめに交換するのを忘れないようにしてください。また、排水溝にはネットやゴミ受けを設置しておき、掃除しやすいようにしましょう。
洗面台
洗面台を浴槽のように撥水(はっすい)コーティングすれば、汚れや傷の予防になります。業者に依頼するほか、市販の撥水剤を用いて自分でおこなうことも可能です。その場合は、まず洗面台の水分をきれいにふき取り、撥水剤をスプレーします。数分置いたら拭き取ることで、撥水コーティングが完了です。
ふち部分にはマスキングテープを貼ると掃除しやすくなるでしょう。ただし3~4カ月に1回を目安とし、こまめな交換が必要です。
鏡
お風呂場や洗面所の鏡もコーティングできます。コーティングによって曇りにくくなるほか、ウロコ汚れも防止することが可能です。自分でおこなう場合には市販されている鏡用のコーティング剤を使用。汚れや水滴などを除去したあと、コーティング剤を吹きかけて2~3分置いたら、拭き取って完了です。具体的な使用法方は、使用する製品の説明を確認してください。
洗濯機
洗濯機を置く台は、あらかじめ搬入前に用意しておきましょう。搬入後に乗せるのは非常に大変です。台にはキャスターの付いたものや、かさ上げ台などのタイプがあります。キャスターがあると掃除したり、裏側に落ちたものを取ったりするのが楽になるでしょう。また、台に乗せることで防振・防音対策にもつながります。
トイレ
便器と床との間にある隙間を、テープや隙間埋め剤などを使って埋めましょう。そうするとニオイの発生を防ぎ、ほこりがたまりにくくなります。事前に拭き掃除や掃除機で汚れ・ほこりを取り除き、市販のテープなどを隙間部分が埋まるように貼ったら完了です。
通気口・換気扇
洗面所やトイレ、浴室などにある通気口や換気扇。汚れを防ぐため、専用のフィルターやカバーを取りつけるのがおすすめです。貼るタイプの製品を選べば、誰でも簡単に対策できます。ただし定期的な交換が必要なので、各製品の説明を確認するとともに、定期的に状態を確認しましょう。
入居前にやること【キッチン】
キッチンも毎日のように使う場所のため、汚れや傷などを防ぎ、手入れしやすいように対策しておきましょう。
シンク
シンクに撥水コーティングを施すと、水の弾きがよくなり、汚れや水垢の防止につながります。汚れても簡単にキレイにできるので、清潔な状態が保ちやすくなるでしょう。撥水コーティングの手順は、まずシンクの汚れを食器用洗剤とスポンジで洗い落とします。どうしても落とせない汚れや水垢には、クレンザーを使うとよいでしょう。さらにクリーナーを使い、シンク全体を磨きます。そしてティッシュなどでふき取り、食器用洗剤でキレイに洗い流したら、水分を拭き取ってください。シンクが乾燥した状態で、市販のコーティング剤を塗り、拭き取ったら完了です。なお、コーティング後はシンクが乾くまで使えませんので、余裕をもって早めにおこなってください。
コンロ
キッチンとコンロの境目の隙間を、マスキングテープやシリコン製の紐などを用いて埋めましょう。油汚れなどが隙間に入り込むのを防ぎ、コンロまわりの掃除がしやすくなります。また、排気口にカバーを付けると、油汚れや具材が排気口に入るのを防げるのでおすすめ。ただし、グリルを使う際には外さないといけないタイプもあるので、購入前に使用方法を確認してください。
換気扇
換気扇には、汚れ防止のためフィルターを取りつけましょう。不織布や金属、ガラス繊維などの素材があります。また、取り付けもマグネット式や貼り付け式、かぶせるだけのものなど多様なので、使いやすいフィルターを選んでください。
入居前にやること【害虫対策】
家に害虫が侵入しないよう、新居での生活をはじめる前に害虫対策をおこないましょう。住んでからでは、家具の影など対策しづらい場所が出てしまいます。以下に、具体的な害虫対策の方法をまとめました。
侵入口
エアコンホース(ドレンホース)をふさぐ
虫の侵入を防ぐため、室外機そばにあるドレンホースに専用のキャップをつけましょう。キャップがなければ、ネットをかぶせることで代用可能です。ただし、ドレンホースは結露を防ぐ目的があるため、完全にふさがないよう注意してください。また、ドレンホースを地面に置くと、そこから虫が侵入してきます。できれば、ホースを地面から5cmほど浮かせた状態にするとよいでしょう。
配管の隙間を埋める
エアコンの配管も、虫の侵入経路になりやすい場所。室内と室外の配管にある隙間を、パテで埋めておきましょう。ただし、時間が経過すると穴が広がってくる可能性があります。定期的に確認し、以後も隙間があれば埋めるようにしてください。
また、洗面所やキッチンの配管も同様です。パテで埋めれば害虫の侵入を防ぐだけでなく、ニオイの防止にも役立ちます。ただし、賃貸で配管を埋める場合には、原状回復などを考えて剥がせるタイプのものがよいでしょう。
網戸に防虫剤をつける
網戸に防虫剤をつけて、虫の侵入を防ぎましょう。塗るタイプや吹きかけるタイプ、網戸に貼るタイプなどがあります。
換気口フィルターをつける
換気口にフィルターをつけて、虫の侵入を防ぎます。中には、花粉や排気ガスといったアレル物質を防げるものあります。
ゴキブリ駆除剤を置く
ホウ酸団子などのゴキブリ駆除剤を室内に設置しましょう。ゴキブリは暖かいところや、湿気のあるところを好みます。室外機やベランダなどに置けば、外部から侵入するゴキブリを駆除することも可能です。その他、家の中なら冷蔵庫の下や机の裏、キッチン棚の中、コンロや流しの下などへの設置がおすすめ。ただし、定期的な交換が必要ですので、設置した場所を忘れないようにしてください。ホウ酸団子の他に、ゴキブリが苦手な香りや天然成分が含まれたタイプのものもあります。
くん煙殺虫剤を焚く
くん煙殺虫剤を焚くときは、室内を無人にする必要があります。そのため、入居前にやっておくと、子どもやペットがいても安心です。
くん煙殺虫剤を焚くときは、火災報知器が反応しないようにしましょう。直下での使用を避けるほか、カバーで覆っておきます。また、使用時は家具を保護したり食器類をしまったり、テレビやゲーム機などのデジタル機器も、カバーなどをかけたりすることも必要なため、くん煙剤の使用を避けたい場合は、スプレー型のものもあるので、こちらを活用するとよいでしょう。
その他、入居前にやっておきたいこと
棚の汚れ防止シート
食器棚やパントリー、靴箱などにはあらかじめ汚れ防止シートをつけておくと、汚れや傷を防ぐことができます。引越し後、荷ほどきしてすぐ棚にしまえるよう、掃除のタイミングで敷いておきましょう。滑り止めのもの、防虫・抗菌・防カビなどの効果のあるもの、洗って繰り返し使えるものなど種類も多様なので、使う場所に合ったシートを選んでください。色やデザインも豊富なため、インテリアの一部として楽しむこともできます。
隙間用テープ
窓から隙間風が入ってこないか、事前に確認しましょう。特に築年数の古い物件などは、経年劣化などもあるので注意が必要です。隙間があれば、窓ガラスとサッシの間を隙間用テープで埋めます。隙間テープにはスポンジやモヘア、ゴムなどの種類がありますが、スポンジやモヘアなら防寒対策にもなるでしょう。サイズもさまざまなので、使用する窓のサイズを測り、これに合ったものを選んでください。キレイに貼るためには、掃除して汚れやほこりなどを除去しておくことも大切です。
コンセントガード
部屋のレイアウトをイメージし、たとえば家具などを置いてしまって使わないコンセントがあれば、コンセントガードを使って塞いでおきましょう。ほこりなどが溜まることが原因で起きる、トラッキング火災の予防になります。
まとめ
引き渡し時の家具や家電など何もない状態は、掃除したり傷や汚れを予防するための対策ができる絶好のチャンスです。ちょっとの工夫で掃除が楽になりますし、傷や汚れが防げれば退去時の原状回復で修繕費を請求されることが避けられます。
掃除は業者に依頼することもできますが、市販の製品を使って自分でできることもたくさん。本記事で取り上げた内容を参考に、新居が決まったらぜひ実践してみてください。事前の準備と対応で、快適な生活をスタートさせましょう!