引越しをする時にはさまざまな手続きが必要ですが、そのなかでも忘れがちなのがインターネット回線です。今使っているインターネット回線をそのまま使えるのか、もっといいインターネット回線に乗り換えるのか、いろいろ考えることがあり面倒くさいと感じてしまうかもしれません。そこで、この記事では引越しの時のインターネット回線の手続きを徹底解説します。インターネット回線は工事が必要となる場合もあるので、できれば引越しの1カ月以上前には手続きをすることをおすすめします。
新居でインターネットを利用するには?
まず新居でインターネットを利用するためには、あらかじめ確認しておくべきことがあります。
インターネット回線は主に4種類ある
まずはインターネット回線について、基本的な内容を確認しておきましょう。インターネット回線といっても主に4種類あり、それぞれ以下のように特徴が異なります。
光回線(フレッツ光など)
光回線とは、光ファイバーケーブルを使用した高速回線です。デジタルデータを光信号に変換し、光ファイバーケーブルによって通信することで、大容量のデータを高速で送受信できます。光回線は電磁波の影響を受けないため、電話回線(ADS回線)よりも安定した通信が可能です。ただし、利用には回線の引き込み工事が必要になる場合もあるため他の回線よりお金がかかる傾向にあります。
ケーブルテレビ(CATV)
ケーブルテレビ(CATV)とは、ケーブルテレビの有線回線を利用してインターネットに接続する回線です。一般的には、ケーブルテレビや電話接続サービスとセットで利用し、地上波放送や衛星放送などの受信とともにインターネット接続がおこなえます。光回線が利用できなかったりする地域や建物で利用されることの多い種類です。CATV回線に使用する同軸ケーブルは、光ファイバーケーブルと比べて通信速度が遅い傾向があるでしょう。ノイズの影響を受けやすく、混雑によって通信速度が落ちやすいなど、安定度に欠ける点がデメリットとなります。
ADSL
ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)」の略称で、電話回線を使用した回線です。既存の電話回線があれば一般家庭でも導入しやすかったため、光回線が導入される前は主流でした。しかし、現在はADSLよりも使いやすくて速い光回線やモバイル回線が増え、2023~2025年の間にサービスが終了する予定です。現在ADSLを利用している場合は、引越しを機に別の回線に乗り換えましょう。
モバイル回線
モバイル回線とは、基地局の電波を利用してデータ通信をおこなう回線です。携帯電話会社が提供するスマートフォンやタブレット向けの通信回線で、4Gや5Gなどの通信規格が存在します。モバイル回線は大きく分けて2種類あり、スマートフォンやタブレットとモバイルWi-Fiルーターやホームルーターです。モバイルWi-Fiルーターは専用の無線通信機器を使うため、自宅の回線工事をする必要はなく、機器が届いたその日に利用可能です。また、モバイルWi-Fiルーターは持ち運びが可能なため、外出先でもインターネットを利用できるメリットがあります。また、引越しの際にも複雑な移転手続きや開通工事などが必要ありません。
契約中のインターネット回線とプロバイダを確認する
次に、現在の家で契約しているインターネット回線とプロバイダを確認しましょう。インターネット回線とプロバイダを別に契約している場合は、それぞれに手続きが必要となるので注意してください。
新居のインターネット回線を確認する
新居で使用できるインターネット回線も確認しましょう。集合住宅だとあらかじめ開通している回線があり、使用できる回線も限られていることがあります。一方、回線が通っていない場合には工事が必要です。また、モバイルルーターは建物の中では接続しにくいこともあるので、内見の際にでも確認しておくと安心でしょう。
エリアを確認する
まずはエリアを確認します。限られたエリアしか使えないサービスもあるため、住む予定の地域がエリア外でないか確認しましょう。また、フレッツ光は東日本と西日本をまたぐ引越しの場合に継続利用できず、新たに契約し直す必要があります。
光コンセントがあるか確認する
光コンセントとは、光回線とONU(光回線終端装置)の接続箇所となる差込口のことです。電柱から引き込んだ光回線を使ってインターネットを利用する時につなげる、光回線専用のコンセントとなっています。一体型は光コンセントと電気用のコンセント・電話線・TV線などがひとつにまとまっているもので、新築マンションにはこのタイプが多いでしょう。一方、あとから光回線を工事した場合は、分離型の光コンセントがあります。
【集合住宅】使える回線について不動産会社や管理会社に確認する
集合住宅に引越す場合、どのインターネット回線が使えるか確認しましょう。新築物件やまだ前の入居者が住んでいる、あるいは遠方で直接確認できない場合は、不動産会社や管理会社に聞くことをおすすめします。
個人で光回線を契約する場合、工事不可なことも
現在主に使われていることが多い光回線ですが、個人で契約する場合、例えば以下のようなケースでは工事ができない可能性もあります。
- 光回線提供のエリア外
- 一戸建てで河川や国道をまたいでの工事が必要
- 一戸建てで光ファイバーを引くための電柱が近くにない
- マンションやアパートですでに別のインターネット回線がある
- 賃貸物件で管理会社や大家さんからの工事の許可が下りない
新居がこの条件に当てはまらないか、あらかじめ確認しておきましょう。
契約中の回線を継続するか他社に乗り換えるか決める
現在の住居と新居のインターネット回線を確認し、契約している回線を継続するのか、他のサービスに乗り換えるのかを決めます。新居のインターネット回線は工事が必要となる可能性もあり、引越し後すぐに使用したいなら、あらかじめ工事の日程などを決めるため早めに契約を申し込みましょう。
回線を継続する際のメリット・デメリット
これまで使用していた回線を引越し後も継続するメリットは、インターネットの利用方法が変わらずに今までどおりに使えることです。また、契約を継続することで違約金がかからないため、余計な出費を抑えることができます。ただし、新規契約時に使えるキャンペーンなどが利用できないことがデメリットです。
他社の回線に乗り換える際のメリット・デメリット
他のサービスの回線に乗り換えるメリットは、地域や契約内容にもよりますが通信速度が改善されたり、利用料金が安くなったりすることです。乗り換えキャンペーンでは、初期費用や数カ月分の利用料金が安くなるようなものも多く実施されています。
一方でデメリットに挙げられるのは、契約更新月以外に解約をすると違約金が発生することです。乗り換えキャンペーンの割引額と比較し、お得になるかどうか検討するといいでしょう。また、プロバイダのメールアドレスを利用していた場合、契約解除で使用できなくなる点に注意してください。
契約中のインターネット回線を継続する方法
現在契約しているインターネット回線を継続する方法をご紹介します。
集合住宅の場合、インターネット回線が開通しているか確認
引越し先が集合住宅の場合、契約しているインターネット回線が開通していて、そのまま利用できるか確認しましょう。すでに別のインターネット回線があるため使えなかったり、工事が必要となったりすることがあります。
インターネット回線会社やプロバイダに転居連絡
引越し先でも現在の回線が使えることがわかったら、インターネット回線やプロバイダを契約している会社に転居の連絡をします。移転手続きに必要な情報は次のとおりです。
- ・引越し先の住所
・引越し先のタイプ(マンション・一戸建て)
・引越し予定日
回線の撤去作業の立ち合い
現在の住まいが賃貸物件の場合、設備の撤去が必要なのかを管理会社や大家さんに確認しましょう。もともと建物に回線があればそのままで構いませんが、自分で工事をした場合は退去時に撤去を求められる可能性があります。撤去工事が必要な場合はインターネット回線会社に依頼し、工事に立ち合いましょう。
新居の開通工事の立ち合い
新居で今までのインターネット回線を使用するために工事が必要な場合は、転居連絡をした時に工事の日程を決めます。開通工事も立ち合いが必要となりますので、引越しのスケジュールを立てる時に気を付けてください。開通工事が終わったら、インターネット接続設定をおこなって完了です。
他社のインターネット回線に乗り換える方法
他のサービスにインターネット回線を乗り換える方法を以下でご紹介します。
契約中のインターネット回線を解約
引越しを機にインターネット回線を乗り換えるのであれば、現在契約しているインターネット回線を解約します。契約更新月以外に解約する場合は、違約金がかかることがあるため、解約時に確認しましょう。
ルーターなどを返却
契約していた回線で使用していたルーターやモデム機器は、解約する時に返却する必要があります。指定された場所に宅配便などで送付してください。
回線の撤去作業の立ち合い
現在使用しているインターネット回線を撤去する必要がある場合は、解約時に申し出ましょう。撤去工事の日程を決め、工事に立ち会う必要があります。
契約したいインターネット回線と契約
新居で使用するインターネット回線を選び、契約をします。月額料金・初期費用・通信速度などを基準に、新居に対応しているインターネット回線を選びましょう。開通工事があれば、インターネット回線を使用できるまでに時間がかかります。そのため、遅くとも使用したい1カ月前には契約するのがおすすめです。
新居の開通工事の立ち合い
新居でインターネット回線を使用するために開通工事をおこなうなら、工事への立ち合いが必要です。引越し前後は忙しいことが多いですが、余裕を持ってスケジュール調整しましょう。
引越し時のインターネット手続きに関する注意点
引越してインターネット回線の手続きをする時に、注意したい点を4つご紹介します。
引越し後すぐにインターネットが使えない可能性がある
引越し後すぐには、インターネットが使えない可能性があります。開通工事が必要であれば、工事が終わるまでインターネットが使えません。引越しが多い時期だと工事の日程が先になってしまうこともあるため、引越し先が決まり次第契約をすると安心です。引越し先ですぐにでもインターネットを使用したいのであれば、モバイルルーターなどを一時的に契約するなどの対処が必要となります。
インターネットが開通しても回線のスピードが遅い可能性がある
引越し前と同じインターネット回線を使用しても、新居では通信速度が遅い可能性があります。新居の回線自体が遅かったり、ルーターと通信機器の距離が離れていたり、ルーターやLANケーブルが古くなったりしていることが原因として考えられるでしょう。
回線を解約する際に、解約費用がかかることもある
主なインターネット回線は自動更新であることが多く、解約する時に違約金が発生することがあります。相場は10,000円前後で、2年に1回の契約更新月以外で解約をする時にかかります。
賃貸の場合、原状回復が求められるため撤去費用がかかることもある
賃貸物件に住んでいる場合、入居する際にインターネット回線を自分で工事して契約していれば、原状回復のためにインターネット回線を撤去するように求められることがあります。撤去工事費用は、違約金と別にかかりますので注意してください。
引越し後すぐにインターネットを使うには
引越しをしてすぐにインターネットを使いたい時の対処方法を、以下で3つご紹介します。
引越し日より前にインターネットを開通させる
一つ目は、引越し日より前にインターネットを開通させる方法です。引越しギリギリの日程に契約をすると、工事の日程などで引越し後の開通となることがあります。そのため、余裕を持って契約し、引越しの前にインターネットを開通させてしまうのもひとつの手です。ただし、引越し前からインターネットの月額料金がかかる点に注意してください。
モバイルルーターをレンタルする
二つ目は、モバイルルーターをレンタルする方法です。モバイルルーターは持ち運びが可能なので、引越し前後での移動中や、インターネット回線が開通していない家でも使えます。1カ月など短期間で契約できるモバイルルーターを選びましょう。
スマートフォンのテザリングを利用する
三つ目は、スマートフォンのテザリングを利用する方法です。テザリングとは、スマートフォンの通信を使ってタブレットやパソコンでインターネットを接続させることです。スマートフォンの通信料は増えますが、無制限で使用できるプランに加入している場合は、一時的にテザリングを利用してみてはいかがでしょうか。ただし契約内容によっては、データ容量に上限がかかることもあるためあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
引越しをする時に必要な、インターネットの手続きについてご紹介しました。最近の賃貸物件では、インターネットが無料で使えるものもあります。できるだけ費用を抑えたいなら、そうした物件を選ぶのもよいでしょう。引越しをする前後は、何かと手続きが多く忙しいものです。だからこそ余裕を持って快適にインターネットを使うために、できるだけ1カ月前にはインターネット回線の手続きをおこなうようにしましょう。