用途地域って何??メリット・デメリットを解説

物件を購入してから「飲食店が少なくて不便」または「周辺施設の騒音が気になる……」と困らないために、用途地域を理解しておきましょう。

今回は、用途地域の概要や調べ方について解説します。
用途地域について種類ごとに一覧でまとめているので、ぜひご覧ください


用途地域とは

用途地域とは、まちづくりを計画的に行うために分けられたエリアのことです。
「都市計画法」にもとづき、土地ごとの用途を制限しています。

もし用途地域が決められていないと、学校・工場・商業施設が隣接して「ごちゃごちゃとした住みにくい街」になってしまうでしょう。

「都市計画法」によって、国土は3つにエリア分けされています。
エリアごとに特徴をまとめました。

①都市計画区域……都市計画を進めるエリア
②都市計画区域外……人が少ないため都市計画法の適用がほとんど及ばないエリア
③準都市計画区域……人は少ないが重要な土地なので都市計画法が適用されるエリア

さらに「①都市計画区域」は3つに区分分けされます。

都市計画区域
・市街化区域……すでに街が形成されているか、10年以内に優先的に街が形成されるエリア
・市街化調整区域……農地や森林を守るため、街が形成される予定のないエリア
・非線引区域……街が形成される予定ではあるが、詳細が決まっていないエリア

「市街化区域」では多くの人が暮らしているので、必ず用途地域が定められます。


用途地域は大きく分けて3種類

用途地域は「住居系・商業系・工業系」の3種類に分けられます。

用途地域 特徴
住居系 住環境が優先される地域
商業系 商業施設が集まり、業務の利便を促進するための地域
工業系 工場の利便性を高める地域

 

用途地域ごとに定められている3要素

用途地域ごとに定められている要素を3つご紹介します。

・容積率
・建ぺい率
・高さ制限

以下で詳しく解説していきましょう。

 

◆容積率

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
計算方法は以下の通りです。

容積率の計算方法
容積率(%)=延べ床面積÷敷地面積✕100

用途地域によって、定められている容積率が異なるので注意しましょう。

用途地域 容積率
住居系 50~500%
商業系 100~1300%
工業系 100~500%

 

◆建ぺい率

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
計算方法は以下の通り。

建ぺい率の計算方法
建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積✕100

容積率と同様に、建ぺい率も用途地域によって制限が異なります。

用途地域 建ぺい率
住居系 30~80%
商業系 60~80%
工業系 30~80%


一定の要件を満たした角地の場合は、建ぺい率が緩和されるケースも。
自治体によって要件は異なるため、事前に建ぺい率の緩和について確認しておきましょう。

 

高さ制限

日当たりや風通しをよくするために、用途地域ごとに高さ制限が設けられています。
高さ制限は大きく分けて4種類。

高さ制限 内容
絶対高さ制限 住環境をよくするためのルール
道路斜線制限 道路の採光や通風を確保し、圧迫感を与えないためのルール
隣地斜線制限 隣人の採光や通風など、良好な環境を保つためのルール
北側斜線制限 北側の敷地にある建物の日当たり・通風を確保するためのルール


土地を購入する前に、用途地域ごとの制限を確認することが大切です。

13種類の用途地域【住居系】

住居系の用途地域は8種類です。

用途地域 おすすめしたい人
第一種低層住居専用地域

・閑静な環境で過ごしたい人

・よく車を利用する人

第二種低層住居専用地域 ・「利便性」と「閑静な暮らし」を両立したい人
第一種中高層住居専用地域

・日々の買い物に困らない場所がよい人

・分譲マンションの購入を検討している人

第二種中高層住居専用地域

・商業施設の近くに住みたい人

・落ち着いた場所に事務所をかまえたい人

第一種住居地域

・利便性の高い場所がよい人

・治安のよさを重視する人

第二種住居地域

・近場で遊べる場所がほしい人

・にぎやかな場所が好きな人

準住居地域

・車での移動が多い人

・分譲マンションの購入を検討中の人

田園住居地域

・農業に興味がある人


種類ごとに特徴を見ていきましょう。

 

①第一種低層住居専用地域

低層住宅や小中学校、診療所が建てられるエリアです。
駅からは離れた場所にあるため、車を所有している方に向いています。

建築物の高さは、10mまたは12mに制限されています。
3階くらいまでのマンションを建てることが可能です。

【おすすめしたい人】
・閑静な環境で過ごしたい人
・よく車を利用する人

 

②第二種低層住居専用地域

低層住宅向けのエリアです。
第一種低層住居専用地域と同様に、高さ制限(10mまたは12m)が設けられています。

床面積が150平方メートルまでであれば、店舗の建築が可能です。
第一種低層住居専用地域で建てられるものに加えて、コンビニや飲食店の建築も認められます。

【おすすめしたい人】
・「利便性」と「閑静な暮らし」を両立したい人

 

③第一種中高層住居専用地域

マンションが多く、中高層住宅向けの地域です。

床面積の上限は500平方メートル。
大学やスーパーマーケット、図書館、病院などが建てられます。

【おすすめしたい人】
・日々の買い物に困らない場所がよい人
・分譲マンションの購入を検討している人


④第二種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域と同じく、中高層住宅のための地域です。

第一種中高層住居専用地域で可能なものに加えて「2階以下」かつ「床面積1,500平方メートルまで」の施設を建てられます。
そのため、中規模のオフィスビルが建築可能です。

【おすすめしたい人】
・商業施設の近くに住みたい人
・落ち着いた場所に事務所をかまえたい事業主


⑤第一種住居地域

駅に近い立地が多く、利便性が高いエリアです。

第二種中高層住居専用地域で建てられるものに加えて、床面積3,000平方メートルまでの建物が認められます。
建てられる例としては、オフィスビルやホテルなど。

パチンコ店やカラオケボックスは原則禁止なので、比較的治安がよいのが特徴です。

【おすすめしたい人】
・利便性の高い場所がよい人
・治安のよさを重視する人

 

⑥第二種住居地域

第一種住居地域よりも、商業施設の制限が緩和されたエリアです。
パチンコ店やカラオケボックス、マージャン店を建てられます。

【おすすめしたい人】
・近場で遊べる場所がほしい人
・にぎやかな場所が好きな人


⑦準住居地域

国道や幹線道路沿いにあり、分譲マンションが多い地域です。
自動車関連施設と住居環境の調和を目的としています。

営業用倉庫や、小規模な自動車修理工場などが建てられます。

【おすすめしたい人】
・車での移動が多い人
・分譲マンションの購入を検討中の人

 

⑧田園住居地域

農業と低層住宅の調和を目標としている地域です。

制限内容は、第一種低層住居専用地域と似ています。
学校や図書館、農産物直売所、農家レストランが建築可能です。

【おすすめしたい人】
・農業に興味がある人

 

13種類の用途地域【商業系】

商業系の用途地域は2種類です。

用途地域 おすすめしたい人
近隣商業地域

・地域内の商業施設に勤務している人

・日中は家にいない人

商業地域

・住みやすさよりも便利さを重視したい人


エリアの特徴や、建てられる施設についてご紹介します。

⑨近隣商業地域

準住居地域よりも、規制が緩和された商業地域です。
商店街が形成されたり、小さな工場が建ったりします。

利便性が高いのが魅力ですが、騒々しさが気になる可能性も。

【おすすめしたい人】
・地域内の商業施設に勤務している人
・日中は家にいない人

 

⑩商業地域

近隣商業地域よりも制限が少なく、オフィスビルや飲食店などが集まるエリアです。
ターミナル駅の周辺が、商業地域に指定される傾向にあります。

【おすすめしたい人】
・住みやすさよりも便利さを重視したい人

 

13種類の用途地域【工業系】

工業系の用途地域は3種類です。

用途地域 おすすめしたい人
準工業地域

・騒音を気にしない人

・生活音のモレが気になる人

工業地域 ・高層マンションに住みたい人
工業専用地域 ・住宅を建てられないため、おすすめできる人はいません


建築が禁止されている建物についても解説します。


⑪準工業地域

小規模な工場に向けた地域のため、騒音が気になる可能性があります。
住宅や飲食店など幅広い用途の建物を建てられますが、危険性の高い工場は建てられません。

【おすすめしたい人】
・騒音を気にしない人
・生活音のモレが気になる人

 

⑫工業地域

どのような工場でも建てられる地域。
湾岸地域は工業地域に指定されやすく、高層マンションが多いです。

住宅や店舗を建築可能ですが、学校や病院、ホテルなどは禁止されています。

【おすすめしたい人】
・高層マンションに住みたい人

 

⑬工業専用地域

工業の促進を目指した地域です。
どのような工場でも建てられる一方で、住宅を建てることはできません。

【おすすめしたい人】
住宅を建てられないため、おすすめできる人はいません

 

◆用途地域の調べ方

「購入したい土地の用途地域を知りたい」という場合は、どのように調べればよいのでしょうか。
ここからは、用途地域の調べ方を3つご紹介します。

・用途地域マップ
・国土数値情報ダウンロード
・市区町村のホームページ

用途地域に関して、よくある質問

用途地域に関して、よくある質問をまとめました。

・用途地域の無指定って何?
・用途地域がまたがる場合はどうする?

それぞれ具体的に解説していきます。

用途地域の無指定って何?
用途地域の無指定とは、用途地域が定まっていないエリアを指します。

無指定の地域は制限がゆるいため、建物を建てやすいですよ。
しかし、電気やガスといったインフラが整備されていない可能性があります。

 

用途地域がまたがる場合はどうする?

用途地域がまたがる場合は、制限によって適用内容が異なります。

制限 内容
用途 面積が大きいほうの用途が適用される
高さ 境界で分かれて、それぞれの制限が適用される
容積率・建ぺい率 それぞれの加重平均の数値が適用される
以下の場合において、それぞれ制限を考えてみましょう。
・土地が「第一種低層住居専用地域」と「第二種低層住居専用地域」にまたがる場合
・第一種低層住居専用地域の面積が300平方メートル、建ぺい率の制限が60%
・第二種低層住居専用地域の面積が100平方メートル、建ぺい率の制限が80%

【用途】
300平方メートル>100平方メートルのため、第一種低層住居専用地域の用途が適用されます。

【高さ】
面積が大きいほうの制限が適用されるのではありません。

第一種低層住居専用地域の敷地では、第一種低層住居専用地域の高さ制限が適用されます。
同じく第二種低層住居専用地域の敷地では、第二種低層住居専用地域の高さ制限が適用されます。

【容積率・建ぺい率】
容積率と建ぺい率の計算方法は同じです。
例として、建ぺい率を計算してみます。

敷地全体の面積 300平方メートル+100平方メートル=400平方メートル
それぞれの建ぺい率 (300平方メートル✕60%)+(100平方メートル✕80%)=260平方メートル
建ぺい率÷敷地全体の面積 260平方メートル÷400平方メートル=65%
つまり、今回の例であれば「建ぺい率は65%」と求められました。

 

◆用途地域を理解すれば土地の特徴がわかる!

今回は、用途地域の概要や調べ方について解説しました。

用途地域とは、まちづくりを計画的に進めるための区切られたエリアのこと。
土地の用途を定めることで、住みやすく便利な環境が実現します。

用途地域は「住居系・商業系・工場系」の3種類に分けられます。
用途地域を調べたいときは、用途地域マップや自治体のホームページを確認しましょう。

 


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