3月の「体調不良」はなぜ起きる?…気温・気圧変動が自律神経に影響


3月は、厳しかった寒い時期が終わり、徐々に暖かい春を感じる日の多くなる季節です。外に出かける機会も増えて、新しい生活への準備などで、忙しくなってくる時期でもあります。ところが、なんとなく体がだるかったり、頭痛やめまいなどの症状が出たり、気分がふさいだりする人が少なくありません。このような体調不良は、どうして起こってしまうのでしょうか。

夏モードに切り替わる季節

春は、私たちの体の機能を維持している自律神経が、寒さに耐える冬モードから、暑さに負けない夏モードに切り替わる途中の季節。そうした春特有の天気変化により、体調を崩すのです。

 体調を崩す原因の一つめには、寒暖差が最も激しい季節であることが挙げられます。寒い冬の時期は、体温を保つために基礎代謝を上げておかなければならず、自律神経のうちの交感神経が優位に働いています。これが、暖かくなるにつれ、副交感神経が優位に変わっていきます。ところが、3月は、日中の気温に比べて朝晩の冷え込みが厳しく、日によって気温が大きく上下するため、自律神経がうまく対応できず、バランスが崩れやすくなります。このとき、副交感神経が過剰に優位になるタイプだと、春特有のだるさや眠け、抑うつなどが生じます。反対に、交感神経が過剰に優位になるタイプだと、頭痛などの慢性痛だけでなく、血圧が上昇して心疾患、脳卒中などの病気になるリスクも高くなるのです。


高気圧と低気圧の入れ替わりが激しく

 二つめの原因は、高気圧と低気圧の入れ替わりが激しいことです。気圧変化が一定ではなく不安定なことも、自律神経を乱れやすくさせます。これまでの調査研究で、低気圧が近づく時、高気圧が張り出してくるとき、どちらの気圧の変化でも、天気痛の発症数が多いことが分かっています。また、気温が大きく変化すると、これに連動して気圧の日内変化(大気 潮汐ちょうせき )のずれも大きくなるため、自律神経のバランスが崩れ、痛みの悪化や、抑うつやめまいなどを引き起こすことも分かっています。

 また、3月は、花粉症のシーズンでもあり、症状が強いと鼻が詰まって熟睡できず、睡眠不足になってしまいます。さらに、異動や引っ越しなどで慌ただしくなると、精神的なストレスも大きくなります。これらのことも、自律神経のバランスをくずす原因となるので注意が必要です。

39~41℃程度のお湯に5~10分ほど

こうした春の気象病への対策は、気温差に体を慣らすことがポイントです。まだ朝晩の気温が低かったり、最高気温が低かったりする日もあります。下半身の冷えが強い人は、保温を心がける必要があります。そして、コートやカーディガンなどで朝晩は暖かく過ごし、気温が上がる日中は、脱いで調節するといいでしょう。生活習慣では、就寝前にしっかり湯船につかることをおすすめします。体を温めると、緊張のせいで優位になっていた交感神経が副交感神経へと切り替わります。あまり熱いと交感神経が優位になってしまうので、39~41℃程度のお湯に、5~10分ほどつかります。このとき、汗をそれほどかかない方がいいのですが、のぼせなど春先特有の不調がある場合には、発汗した方がいいこともあります。

 人は、上昇した体温が下がるときに入眠すると熟睡できます。深い睡眠をとれば、自律神経の切り替えがスムーズになって、気象病の予防にもなります。また、3月はウォーキングなどを始めるのにいい季節です。毎日少しずつでいいので、体を動かす量を増やしていきましょう。緊張型頭痛や肩こり、慢性の腰痛を持っている人はもちろんですが、片頭痛の人も、体を動かす習慣が不足していることが分かっています。体調がよい時には、積極的にヨガやストレッチを行うように心掛けると、次第に自律神経が整って、春を気持ちよく過ごすことができますよ。