離婚の際に家は売却するべき?売却による財産分与や売却メリットなどを解説!

離婚に伴い、問題となることの一つが「家」をどうするかということです。家や土地は現金のように2つに分けられないので、どのように取り扱うかでトラブルに発展するケースは珍しくありません。

売却してしまうことできっちり財産分与できますが、離婚に伴う売却にはメリット・デメリットがあるので、注意点を押さえて売却することが大切です。

この記事では、離婚時の家の取扱いや売却するメリット・デメリット、押さえておきたいポイントについて分かりやすく解説します。


離婚時における財産分与とは

離婚時の財産分与とは、結婚後に夫婦で築いた財産を公平に分ける制度のことをいいます。財産分与は法律で認められた権利であり、夫婦どちらであっても相手方に財産分与請求をすることが可能です。

基本的に、財産分与では収入の差に関わらず公平に財産を分けるため、専業主婦であっても2分の1の財産を受け取れます。

財産分与には、次の3つの種類があります。

・清算的財産分与
・扶養的財産分与
・慰謝料的財産分与
 

・清算的財産分与

精算的財産分与とは、婚姻期間中に築いた財産を平等に分ける方法です。一般的に財産分与というと、この清算的財産分与のことを指します。例えば、貯金が1,000万円あれば、それぞれに500万円ずつという分け方になります。

清算的財産分与では、貢献度を考慮して分配するので、原則2分の1つずつ財産を受け取ることが可能です。例え専業主婦であっても、夫が財産を築けたのは妻のサポートがあったからこそとされるので、単純に収入の差で分配割合が決められることはありません。

ただし、婚姻前に築いた財産や、婚姻後であっても相続で受け取った財産は、分与の対象外となります。

家の場合、物理的に半分に分けられる財産ではないので、次のような方法で分与することになります。

・売却して現金で分割
・共有名義にする
・どちらかの名義にして代償金を払う
 
・扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、離婚によって片方の生活が困窮する場合に、もう片方の配偶者が生活保障の意味として支払われる財産分与です。専業主婦や子どもが幼く働くのが難しい・高齢で仕事に就けないといった場合で、生活費の補助の役割を果たします。一般的には、自立するまでの期間に毎月一定額の金銭を渡すケースが多いでしょう。

家の場合では、親と子どもの居住の確保として住宅を譲渡や無償で貸与することや、離婚後も住宅ローンを支払うといった方法で扶養的財産分与が行われます。

・慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与とは、離婚原因のある側が慰謝料として財産を渡す財産分与のことです。非のある側が被害者側の精神的苦痛を和らげるための財産分与であり、慰謝料的な役割を果たします。

慰謝料の場合は金銭での支払いとなりますが、慰謝料的財産分与では金銭以外の物での分与が可能です。ただし、慰謝料的分与で財産を受け取った場合、慰謝料総額を超える分与であれば、重ねて慰謝料を請求することはできません。

被害者側が慰謝料として家を望む場合は、家を貰うことは可能です。ただし、家の評価額が慰謝料として相当額の範囲を超えていると、相手方が応じない可能性があります。

また、相手方が応じた場合でも慰謝料相当額を超える部分は贈与と見なされ、贈与税が課せられる可能性があるので注意しましょう。

 

◆離婚時に所持している家はどのように扱うべき?

離婚時の家の取扱い方法としては、主に次の3通りの方法があります。

・売却して現金化
・相手の受け取り分を支払って買い取る
・他の財産で埋め合わせをする
 
・売却して現金化

家を売却して、現金として夫婦で分けるというシンプルな方法です。

ローンが残っている場合は、売却金でローンを完済し、その残りを公平に分けることになります。現金できっちり分けるので夫婦ともに納得しやすく、離婚後の生活に必要なまとまった資金を得ることが可能です。売却してしまえば、今後夫婦が関わることもなく、きっぱりと新しい生活をスタートできるという点もメリットいえるでしょう。

ただし、子どもの進学などの理由でどちらかが住み続けたい場合や売却金ではローンを完済できない場合などで、売却が難しい場合もあります。

・相手の受け取り分を支払って買い取る

家を手放したくない場合や住み続けたい場合、住み続ける側が相手に財産分与の相当額を支払って買い取る方法があります。

仮に、家の価値が2,000万円なら、相手に1,000万円を支払ってそのまま住み続けるという方法です。この方法を取るには、支払う側に資金力が必要な点に注意しましょう。

また、家の資産価値の判定方法に疑問がある場合、後々トラブルに発展する可能性もあります。

・他の財産で埋め合わせをする

家のほかに分与の対象となる財産があるなら、家を受け取り、他の財産で相手側の分与分を埋め合わせする方法もあります。

例えば、1,000万円の家をどちらかが受け取った場合、もう片方側は車や家具などの1,000万円分の別の財産を受け取ることになるのです。車や家具といった財産も家同様に公平に分割するのが難しいため、相手側が欲しい財産を渡して家を受け取ることで公平に財産分与しやすいというメリットがあります。

ただし、家の資産価値が高い場合は、他の財産では埋め合わせできない可能性があるので注意しましょう。その場合は、自己資金で足りない分を埋め合わせるという方法を検討できます。

 

◆離婚時に家を売却するメリット・デメリット

離婚に伴い家を売却すれば、きっちり現金で分与できるなどもメリットがあります。しかし、デメリットもあるので、メリット・デメリットを把握して慎重に判断することが大切です。

メリット・デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

メリット デメリット
  • ・現金で公平に分けられる
  • ・ローンが完済でき返済トラブルを避けられる
  • ・家の管理が不要になる
  • ・売却後に夫婦で会う必要がなくなる
  • ・家を失うことになる
  • ・引っ越しが必要
  • ・ローンを完済できなければ返済トラブルになる

 
売却して現金化することの最大のメリットは、きっちりと公平に分与できるという点でしょう。現金で分けられるので双方納得しやすく、新生活の資金にもできます。また、売却金でローンを完済することで、今後ローン返済に伴うトラブルも避けられます。

家を持ち続けると、残るほうは維持管理費がかかります。家の所有には、固定資産税や修繕費など、毎年高額なコストがかかるものです。ファミリータイプの場合、1人で住み続けるにはコストも掃除などの管理の手間も大きな負担となるでしょう。

家が残っていると、後々売却する際やローン返済などで相手側と連絡を取らなければならないことも出てくるものです。相手との関係性によっては、離婚後に相手と顔を合わすのもストレスになりかねません。

家を売却することで、さまざまなトラブルを避けられお互い新しいスタートを踏み出すことができるでしょう。

一方、デメリットとしては、持ち家が無くなることで今後の生活が厳しくなる可能性があります。子どもが小さい場合など、どちらかが経済的自立がすぐにできない場合、持ち家があるのと無いのとでは生活の負担や精神的なストレスも大きく異なります。引っ越しにも費用がかかり、新しい環境にストレスを感じる人も少なくありません。

ただし、家に住み続ける場合で出ていった側がローンを支払うことになると、ローンの延滞問題も出てくるので注意が必要です。

また、家のローン残債には注意しなければなりません。売却額でローンを完済できない場合、預貯金でその分を補えなければ売却できません。

任意売却する方法もありますが、任意売却の場合返済の負担は軽減するといっても、家を手放したうえでローンの返済は残ります。支払う側によっては金銭的負担が大きいだけでなく、返済を巡ってトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。

 

◆離婚時に家を売却するうえで押さえておくべきポイント

離婚時に家を売却する場合、間違った対応をしてしまうとトラブルが深刻化してしまう恐れがあります。ただでさえトラブルが起きやすい離婚前後で、家の売却までトラブルに発展しないために注意すべきポイントがいくつかあるので、押さえておくことが大切です。

ここでは、押さえておきたいポイントとして次の4つを解説します。

・家が財産分与の対象とならないケースもある
・住宅ローンの有無
・売却できるのは名義人だけ
・財産分与のタイミング

 

◆家が財産分与の対象とならないケースもある

財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦で築いた財産です。対象となる財産としては、家(不動産)以外にも次のようなものがあります。

・預貯金
・株式などの有価証券
・年金や退職金
・生命保険積立金
・車
・家財など
 
共有名義の財産はもちろんですが、車や預貯金・有価証券など、たとえどちらかの名義であっても婚姻期間中に取得した財産であれば基本的に財産分与の対象となります。

ただし、「婚姻前に築いた財産」や「協力して得たわけではない財産」は、財産分与の対象外となります。次のようなものが代表的でしょう。

・独身時代の貯蓄
・独身時代に購入した有価証券や車・不動産
・相続で取得した財産
・生前贈与で受け取った財産
 
家の場合も、親から相続した家や独身時代にすでに購入していた家であれば、財産分与の対象とはならないので注意しましょう。

また、婚姻期間中に取得した家であっても、住宅ローンの支払いの財源が独身時代お金や片方の親が資金援助した場合では対象とならない可能性があります。

反対に、独身時代に買った家でも住宅ローンの支払いが婚姻中の共有の財産からであれば、財産分与の対象となります。

このように家が財産分与の対象となるかどうかは、資金がどこから出ているかが重要なポイントとなるのです。

 

◆住宅ローンの有無

住宅ローンの残債によっては、財産分与ができない場合もあります。住宅ローンの返済中の家の場合、ローン残債と家の売却額との関係は「アンダーローン」と「オーバーローン」のどちらかです。

・アンダーローン:家の資産価値>ローン残債(売却額でローンが完済できる)
・オーバーローン:家の資産価値<ローン残債(売却額ではローンが完済できない)
 
アンダーローンの場合は、売却してローンを完済し残ったお金を分割するだけなのでスムーズに財産分与が可能でしょう。

問題となるのが、売却してもローンを完済できないオーバーローンの場合です。オーバーローンの家は資産価値がないとみなされるため、そもそも財産分与の対象となりません。この場合、相手方が分割に同意しなければ家の名義人が家を受け取ることになり、ローンの支払いも契約者がすることになるのです。

また、オーバーローンの物件は売却すらできません。家の売却には抵当権の抹消が必須となり、抵当権を抹消するにはローンの完済が必要です。

売却額だけでは完済できない分を預貯金などでカバーできれば売却可能ですが、資金がない場合は売却ができません。オーバーローンで売却する場合は、任意売却を選択することになるでしょう。任意売却後に残った債務をどうするかは、夫婦で話し合って決めることになります。

 

◆売却できるのは名義人だけ

不動産を売却できるのは、基本的に名義人のみです。たとえ夫婦であっても、名義人でない配偶者では売却ができません。

反対に、家の名義が夫婦共有の場合は、売却は夫婦共同でなければできなくなるのです。どちらかが売却を拒んでいる場合、売りたくても売れない、売りたくないのに勝手に売られるという事態に陥る可能性があるので注意しましょう。

そのため、家の売却を進める前に、家の名義人が誰なのかを把握しておくことが大切です。家の名義人ついては、登記簿謄本や購入時の売買契約書で確認できます。

 

◆財産分与のタイミング

離婚に伴い財産分与をする場合、そのタイミングは「離婚後」がよいでしょう。離婚前に財産分与をすると、財産の移転が「贈与」と見なされ、贈与税が課せられる可能性があります。不動産をどちらかの名義に移す場合は、不動産取得税もかかる可能性があるのです。

ただ、家の売却自体は離婚前に進めておくことをおすすめします。共有名義などの場合、売却で夫婦の協力が必要です。離婚後では、売却したくても連絡がつかなくなり、売却がスムーズにいかなくなる恐れがあります。互いの連絡が取りやすい離婚前に売却しておき、売却金の財産分与は離婚後という流れがトラブルを避けやすくなるでしょう。

また、財産分与を請求できる期間にも注意が必要です。財産分与を請求できるのが、離婚成立日から2年間となります。この期間を過ぎてしまうと財産分与を求めることができなくなるので、この期間内に財産分与を求める意思を示しておくことが大切です。

 

◆まとめ

離婚に伴う家の取扱いについて、財産分与の基本に触れながらお伝えしました。婚姻後に築いた財産は財産分与の対象となり、婚姻期間中に取得した家も財産分与できます。ただし、家は分割できないので売却して現金化するなどの対応が必要になってきます。

離婚後に売却してしまうことで、現金を公平に分割できお互いに新しくスタートできるなどのメリットがあるものです。ただし、ローン残債によっては売却が難しくなるので、ローン残債と家の売却額を早めに把握しておくようにしましょう。

 

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